第一次訴訟提訴から
 11年目を迎えた東京大気裁判
 東京で、大気汚染公害被害者(喘息・慢性気管支炎・肺気腫の患者)が、大気汚染をなくし、損害賠償と被害者救済を求めて裁判を起こし11年目を迎えています。原告団は第一次提訴(1996年5月99名)から第六次提訴(2006年3月40名)まで、あわせて633名になります。しかしこの間に108名の原告が亡くなりました。この東京大気汚染公害裁判の被告は、国・東京都・首都高速道路公団そしてトヨタ自動車をはじめとするディーゼル自動車メーカー(トヨタ・日産・三菱・マツダ・日産ディーゼル・いすゞ・日野)です。

メーカーの加害責任、
 そして国・東京都・道路公団の管理責任

 喘息など呼吸器障害の患者は東京に50万人とも60万人とも存在していると言われています。「公害患者」として認定されている患者数は東京都の調査でおおよそ分かりますが、未認定(未救済)患者数はなかなかつかめません。東京の場合、認定、未認定を問わず、公害被害者(喘息患者等)が自らの健康被害の加害責任を訴えたものです。東京の大気汚染は自動車排ガス、とりわけディーゼル排ガスによってもたらされたのです。トヨタをはじめとする自動車メーカーは、70年代のオイルショックのときに、ガソリン車を売り悩んだ結果、「低燃費」を売りものに、ディーゼル化を図り、町中を走る小型貨物車を含むディーゼル車を大量に製造販売し膨大な利益をあげてきました。ディーゼル排ガスが重大な健康被害をもたらすことを予見しながら……。トヨタをはじめとする自動車メーカーの加害責任(法的責任)と社会的責任がまず問われているのです。そして国・東京都・道路公団の管理責任が問われているのです。

東京高裁が被害者救済の立場から
 「抜本的、最終的な解決」を勧告

 
東京首都圏の大気汚染は1980年代後半にいっきに悪化しました。自動車の排ガス、とくにディーゼル車が元凶です。汚れた空気を吸ってぜん息等の病気になる被害が広がり、深刻な問題になりました。国が公害健康被害補償法の新規認定を打ち切った1988年以降は、ぜん息等の病気になってもなんら補償のない未救済(未認定)患者が急増しました。高額な医療費負担で満足な治療も受けられず、病状は悪化の一途をたどり、入退院のくりかえしのなかで職を失い、収入の道を絶たれ、最後は生活保護に頼らざるを得ない深刻な状況に追い込まれてきました。「こんな苦しみを背負わされて、泣き寝入りはできない」と勇気をふるって10年前に裁判に訴えました。その裁判の控訴審が東京高裁で結審となり、マスコミでも大きく報道されたように、「解決勧告」が出され解決へ一歩前進しました。

私たちの全面解決要求

  1. 深刻な大気汚染被害の責任を認め、謝罪すること。
  2. 原告らに対して、全面的な損害賠償をすること。
  3. 新たな被害者救済制度を創設すること。とりわけ、東京都においてメーカーにも財源負担を求めて、全都全地域、自己負担なしの医療費救済制度を創設すること。
  4. 大気汚染の抜本的改善のために、公害防止対策を実施すること。
  5. 公害防止対策の完全な実施を検証するために、東京都・国・メーカーと原告側で構成する継続的協議機関を設置すること。

病気の苦しみと高額の医療費負担
 
ぜん息等の発作を抑えるには、早期に適切な治療を受けることで、思い発作を回避することができます。しかし、実際に、成人の患者の場合はかなり苦しくなるまで、我慢してから、病院に駆け込むというケースが多くあります。仕事を休めない、医療費を抑えたいなどの理由で、結果的にさらに病状を悪化を招くという悪循環です。

医療費の負担を心配をしないで治療を受けたい
 
病気を持っていても、人間らしい生活をしたい。しかし、大人は(18歳以上)医療助成の対象とされず、放置されてきました。適切な治療を受けられず、症状が悪化して働くことができなくなった患者は、生活保護などの生活を余儀なくされます。それさえも認められず苦しんでいる患者もいることを、私たちは東京都・トヨタらに訴え救済を要求してきました。

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