東京大気汚染公害裁判原告団・弁護団が

自動車7社と首都公団と交わした確認書および

東京都が控訴しないことを表明した全文

トヨタ自動車との話し合いで原告団とトヨタと交わした確認書(全文)

確認書

  1. 当社製を含む自動車からの排ガスが大気汚染の一端をにない、それによって健康被害に何らかの影響を与えている蓋然性があることについて重く受けとめます。
  2. 当社は、東京大気裁判が1〜4次まで含めてできるだけ早く最終解決に至ることが望ましいと考えます。
  3. 当社は、行政が新たな救済制度を制定する場合、社会的要請も踏まえて総合的に対応を判断します。
  4. 当社は、自動車単体の排ガス低減対策について、今後なお一層強化するよう努力します。
  5. 原告からの話し合いの要請については、今後も誠実に対応します。

以上

平成14年10月29日
トヨタ自動車株式会社 法務部長 牧野純二 印


日産自動車株式会社と交わした確認書(全文)

確認書

  1. 本日の判決を厳粛に受け止めます。今後も引き続き環境対応の技術の開発に積極的に取り組んでいきます。これが当社としての社会的使命につながると考えます。
  2. この裁判の早期全面解決を強く望みます。
  3. 今後とも従来どおり話し合いを継続いたします。                      以

以上

平成14年10月29日
日産自動車株式会社ジェネラル・サポート部部長 菊池伸行 印


三菱自動車と交わした確認書(全文)

確認書

  1. 当社は、自動車排出ガスが大気汚染の一因であることを認識し、環境負荷の少ない自動車の製造販売に努めていきます。
  2. 当社は、喘息等で苦しんでいる患者の皆様、ご家族については、非常にお気の毒に思い、お見舞い申し上げます。
  3. 当社は、行政が新たな被害者救済制度を制定する場合には、社会的要請も踏まえて総合的に判断して対応します。
  4. 当社は、東京大気汚染公害裁判の早期解決を期待します。
  5. 原告側からの話し合いの要請については、従前の経過を尊重し、今後も誠意をもって対応します。

以上

平成14年10月29日
三菱自動車工業株式会社 法務部長 山崎恭正


いすゞ自動車と交わした確認書(全文)

  1. 今日の大気汚染について自動車排ガスが寄与しているという趣旨の判決が出されたことを重く受け止めます。
  2. 被害者救済制度については、これが制定される時点において検討します。
  3. 当社は、排出物質の低減には今後も継続して努力します。
  4. CNG車などの低公害車への代替については商品としての成立性が確認されるならば、対応していきます。
  5. 公害防止対策のための行政を含めた公の協議機関が設置される場合は、可能なかぎり協力を惜しみません。

以上

平成14年10月29日
いすゞ自動車株式会社 法務・知的財産部長 大山 浩 印


日野自動車と交わした確認書(全文)

確認書

  1. 当社製を含む自動車からの排出ガスが本件地域の大気汚染の一因となったことにより、健康被害に何らかの影響を与えている蓋然性があることを謙虚に受け止めます。
  2. 当社は、東京大気裁判が1〜4次まで含めてできるだけ早く最終解決に至ることが望ましいと考えます。
  3. 当社は、行政が新たな救済制度を制定する場合、社会的要請も踏まえて総合的に対応を判断します。
  4. 当社は、自動車単体の排出ガス低減対策について、今後なお一層強化するよう努力します。
  5. 原告からの話し合いの要請については、今後も誠実に対応します。

以上

平成14年10月29日
日野自動車株式会社  総務部長 田嶋英幸 印


日産ディーゼル工業と交わした確認書(全文)

確認書

  1. 本日、6年余りの審理の後に自動車排出ガスが大気汚染の一因となっていることを認めた判決が下されたことを、当社は真摯に受け止めます。
  2. 本日、原告の方の被害の状況をお聞きし、これを当社は真摯に受け止めます。
  3. 当社は行政により新たな救済制度が制定された場合、社会的要請を踏まえ、対応を判断します。
  4. 当社は自動車単体の排出ガス低減対策について、今後、なお一層強化するよう努力します。
  5. 原告からの解決に向けての話し合いの要請については、従前の経緯をふまえ、今後とも誠実に対応します。

平成14年10月29日
日産ディーゼル工業(株)総務部長 小谷仁 印

東京大気汚染公害訴訟事件原告団 御中


マツダと交わした確認書(全文)

確認書

  1. 当社は、今後も引き続き、より高いレベルの排出ガス低減を含む環境を配慮した技術の開発に積極的に取組んでいきます。
  2. 当社は被害者救済制度を制定する場合、行政から要請があれば真摯に検討する。
  3. 当社は、話合いの要請については、従前の経過を尊重し、誠意をもって対応する。

以上

平成14年10月30日
マツダ株式会社 法務部長部長 池上徹 印


首都高速道路公団と原告団などと交わした確認書(全文)

  1. 首都高速道路公団(以下、公団という)は、公団が設置・管理する拘束道路の周辺に健康を害した人々が存在することを認める。
  2. 公団は、関係機関と協議し、公害防止・環境対策に一層の努力をする。
  3. 公団は、関係機関と被害救済制度の可能性について真しに協議する。

首都高速道路公団総務部調査役 青柳克己
   同  企画調査室調査役 国分芳夫
   同 計画部第1計画課長 石井信隆

東京大気汚染公害裁判原告団 小澤廣子弁護団弁護士
      同       久保博道      
   同    実行委員会  鈴木久夫      

平成14年10月29日


東京大気汚染公害訴訟の判決への対応について(東京都)

14年10月29日

控訴しない
  1. 判決の評価
  1. 判決の内容・論理は承服できない理由
(1)国の自動車排出ガス規制責任がないとしたが、大気汚染の根本的な原因は、国の自動車排出ガス規制の怠慢にある。
(2)道路が公害の発生源であるとしたが、道路整備は、大気汚染の解決のためにむしろ必要である。
  1. 控訴しない理由
(1)多数の健康被害が発生し、各地で訴訟が提訴されており、今や問題解決を個々の裁判にゆだねられない全社会的な問題となっている。これ以上行政内部の論理を優先して、裁判を継続し、結論を先送りすべきでない。
(2)今、早急に実施すべきことは、
 1)国の自動車排出ガス対策の強化
 2)健康被害者の救済である。
  1. 今後の都の対応
  1. 国に対しては、大気汚染をここまで放置した責任を自ら認め、控訴しないよう要請するとともに、次の事項を国に強く要求する。
(1)NOx・PM法の規制開始時期を当初予定どおりに実施
(2)国による被害者救済制度の創設
(3)三環状道路等を早急に整備
(4)不正軽油撲滅・脱税摘発
(5)低硫黄軽油の供給拡大
  1. 都は、次のようなできる限りの施策を実施する。
(1)予定どおり平成15年10月から環境確保条例によるディーゼル車規制を実施する。それに向けた零細事業者への支援措置の充実を図る。
(2)引き続き、違反ディーゼル車一掃作戦や不正軽油撲滅作戦を展開するとともに、低硫黄軽油の供給を促進する。
(3)引き続き、都としての道路整備の推進に努め、重点的な渋滞解消対策や沿道環境改善対策等を実施する。
  1. 2次以降の訴訟への対応
 国の排出ガス規制責任を強く主張していく。
 国と首都高速は控訴。一方、原告99人全員が国、東京都、首都高速道路公団、自動車メーカー7社を控訴(11月12日)。控訴を断念した東京都に対しては、都の賠償責任が認められた5人は控訴せず。この部分については確定しました。
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