メーカーは責任をとれ!

東京大気汚染公害裁判弁護団
斉藤 園生

大詰めを迎える東京大気汚染訴訟
 東京大気汚染訴訟の第一次訴訟が継続していた東京高裁では、昨年9月28日最終弁論が行われ審理は終結した。その席上裁判長は、本件の問題は判決のみでは解決できないとしたうえで、「早期、抜本的、最終的解決を図りたい」と和解の勧告をした。被害者救済にむけ、裁判所が調整に乗り出した。
 被告東京都は、11月28日高裁に対して、都内全域で気管支ぜん息患者の医療費補償をする救済制度をつくることを言明。財政負担は国、東京都各3分の1、首都高速道路及びメーカー7社が各6分の1とする案である。新聞報道でも伝えられているが、当初難色を示していたメーカーも原告らの再三の要請、運動の前に、都の救済案受け入れを表明。また、最近は、国も協議に加わる意向と伝えられている。救済制度実現が現実的になってきたのである。

救済制度だけでは終わらない。メーカーは謝罪・解決金を
 
救済制度ができるということは、原告らにとって大きな成果である。しかし、訴訟はそれだけでは終わらない。救済制度はあくまでも気管支ぜん息患者だけであり、慢性気管支炎や肺気腫の疾患は含んでいない。しかも訴訟に至るまで、患者たちは仕事を失い、家族を失い、死の恐怖と闘い続けてきた。被告らからの謝罪と、過去の損害に対する賠償金(解決金)なくして、死んでも死にきれないというのが原告らの本音である。鍵を握るのはなんといっても「世界のトヨタ」を中心としたメーカーの動向であるが、現在までのところトヨタはじめメーカーは謝罪も解決金も低レベルという回答しかない。訴訟はこれでは終わらないのである。

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