公害問題を解決するため、調停委員が加害者と被害者との話し合いを仲介して、紛争の解決を図る制度です。
公害調停は裁判所ではなく、総務省の外局である公害等調整委員会が主催しますが、調停委員には裁判官経験者がかなり含まれています。
裁判では公害発生者の責任を明らかにして、被害賠償と公害の防止を請求し、裁判所がそれについての判決を下して問題の解決を図りますが、公害調停ではあくまで話し合いで解決を目指すことになります。
調停では裁判とは違って公害発生者に対する強制力はありません。本件でいえば、環境省や自動車メーカーは、公害被害者を救済する制度を作ることについての話し合いを拒否して「逃げる」ことも可能です。しかしそのようなことは世論が許さないでしょう。
裁判では双方から証人尋問をしたり、専門家による鑑定などの立証活動が必要になり、大きな公害裁判は10年がかりとなるのが実情ですが、公害調停では、2年程度の短期決戦となるのが通常です。相手方に「逃げ」を許さない力関係をどう作るかがポイントになります。
大気汚染公害をなくし、ぜん息などの被害者を公害発生者の責任でしっかり救済していく制度が必要との大きな世論を作ってゆき、環境省と自動車メーカーを包囲していくことを目指していきます。