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東京公害患者と家族の会

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大気汚染被害の医療費救済制度実現に向けて
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大気汚染被害の医療費救済制度実現に向けて
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公害調停とは

公害問題を解決するため、調停委員が加害者と被害者との話し合いを仲介して、紛争の解決を図る制度です。


公害調停は裁判所ではなく、総務省の外局である公害等調整委員会が主催しますが、調停委員には裁判官経験者がかなり含まれています。


裁判では公害発生者の責任を明らかにして、被害賠償と公害の防止を請求し、裁判所がそれについての判決を下して問題の解決を図りますが、公害調停ではあくまで話し合いで解決を目指すことになります。


調停では裁判とは違って公害発生者に対する強制力はありません。本件でいえば、環境省や自動車メーカーは、公害被害者を救済する制度を作ることについての話し合いを拒否して「逃げる」ことも可能です。しかしそのようなことは世論が許さないでしょう。


裁判では双方から証人尋問をしたり、専門家による鑑定などの立証活動が必要になり、大きな公害裁判は10年がかりとなるのが実情ですが、公害調停では、2年程度の短期決戦となるのが通常です。相手方に「逃げ」を許さない力関係をどう作るかがポイントになります。


大気汚染公害をなくし、ぜん息などの被害者を公害発生者の責任でしっかり救済していく制度が必要との大きな世論を作ってゆき、環境省と自動車メーカーを包囲していくことを目指していきます。

ぜん息等の被害者救済制度とは

私たちが要求しているぜん息等の被害者救済制度は、

  • 首都圏、関西、中京などの大都市圏に居住していて、
  • 気管支ぜん息、慢性気管支炎、肺気腫に罹患した患者について、
  • 大気汚染公害発生原因者である国、自治体、自動車メーカーなどの企業が財源を負担して、
  • その医療費の自己負担分を全額助成する

という内容のものです。


大気汚染は、改善したとよく言われます。しかしぜん息等の最大の発生源とされるPM2.5は今でも多くのところで、環境基準を超えているのが実態です。また現在のぜん息患者の発病時期の平均は1990年頃であることも明らかにされており、排ガス公害が最も激しかった1970年代~90年代に発病し数十年間も苦しめられている患者がたくさんおります。排ガス公害の原因を作った行政やメーカーなどの責任でこれらの患者の救済をしていくことは、汚染者負担の原則からしても当然のことです。


またぜん息等の医療費救済制度の果たす社会的・公共的意義は極めて大きなものがあります。


ぜん息等の公害病は慢性化すると完治することはなく、死ぬまで治療を受け、薬の服用、吸入などをし続けなくてはなりません。しかもその医療費は3割負担で毎月数千円~1万円近くかかるのが普通です。その上入院でもしようものなら1回10万円くらい飛んでゆきます。そこで患者の中には、調子のいい時には自分の判断で薬を減らしたりして医療費を節約するため、かえって大発作を起こしたりする例が後を絶ちませんでした。


しかし東京大気汚染公害訴訟の和解に基づいて、2008年に東京都の医療費助成制度ができてからは、東京都の患者は皆きちんと定期的に通院し、医師の指示通り服薬するようになりました。こうして経済的な心配をすることなく、しっかりぜん息をコントロールすることができるようになって、重症患者は明らかに減少しました。東京都の調査では制度ができてから8年間に、大発作を起こして救急外来を受診する患者は約3分の1にまで減りました。


そして一部懸念されていた乱診・乱療ということも起こらず、医師らからも極めて高く評価されていました。


この東京都の救済制度も2018年4月より月6000円の自己負担が導入され、その効果は半減しました。東京以外では川﨑市がぜん息医療費を1割負担とする助成制度を実施しているほかは、成人に対する助成制度はありません。

私のぜん息体験

私は気管支ぜん息を発症して40年が経ちますが、今思うことはぜん息の治療が飛躍的に変わったということです。発病した当時はぜん息は発作時が苦しいので、発作の時に病院に行くという対処をしていました。気管支拡張剤等の飲み薬も処方されましたが、薬の役割が解らず調子の良い時は飲まずにいたこともありました。発病から数年、発作を繰り返しているうちに日常的に息苦しさがあり、荷物を持ったり階段を上ると心臓がバクバクしてしかたありませんでした。発作も重責になり入院をして注射や点滴を続けるようになりました。


一つ目の転機

吸入ステロイド剤の吸入をするようになってから、日常的な息苦しさが和らぎました。それまで息苦しさが強くなると気管支拡張剤の吸入をしていましたが、効果のある時間が過ぎると再び苦しくなるので再度使う、しかし段々効果のある時間が短くなり悪循環でした。毎日処方どうり吸入ステロイドを使うことで、日々の息苦しさが少なくなり、発作も減ってきました。

二つ目の転機

インフォームドコンセントが普及したことです。それまで医師に処方された薬を言われるままに服用・吸入していましたが、薬の効果や副作用などの説明があることで病気に向き合う気持ちが変わりました。特にステロイド剤の服用による副作用が多岐にわたることを知り、慎重に服用するようになりました。

三つ目の転機

ぜん息のガイドラインが出来たことで、どの病院に行っても一定の治療が受けられるようになりました。40年前の経験では夜間救急で診てもらうと、医師によって対応がまちまちでした。それと、ぜん息は発作の治療より発作の予防が大切だと再確認できました。症状によるステップがあり、改善を目指す目安にもなります。

最大の転機

2008年から開始された「東京都大気汚染医療費助成制度」の認定を受け、医療費負担から解放され、より効果のある薬を試すことができました。最新のぜん息治療薬の皮下注射(とても高額です)を打つようになり、劇的に症状が改善しました。2018年4月から一月6000円まで自己負担になり少し大変ですが、長年の高額な医療費の負担とぜん息発作の苦しみを思うと、医療費助成制度を全ての患者に適用してほしいと、心から願います。

ぜん息の原因は?

私は思います、なぜこんな病気になったのか?どうしたら治るのか?

答えはありません。

長い間ぜん息はアレルギーであると、医師の言葉や書物等を信じてアレルギーの治療(減感作療法等)を続けましたが、改善は見られませんでした。

ぜん息の原因は、アレルギー・タバコ・大気汚染等といわれますが、自分のぜん息の原因を知る患者は少ないと思います。

私は大気汚染(自動車の排ガス)がぜん息の原因になり得ると聞いたときは信じられませんでした。しかし、道路沿道から家を引っ越したところ、確かに発作の頻度が軽減したのです。家に空気清浄器を設置して外出をしないと発作は出ませんでしたが、これでは生活ができません。

私は道路沿道の大気汚染が原因の一つだと確信しましたが、ぜん息は様々な要因が複合的に作用して悪化をするのではないでしょうか。


ぜん息の現状は!

現在の医療では、成人ぜん息の場合完治は難しいと言われています。早期に適切な治療により寛解する患者もいます。医療費負担が障害になることがないように、誰でも適切な治療を受けられるような医療費助成制度が必要と体験を基にお伝えしたいです。


今、私が思うこと

ぜん息患者は非常に多くいます。症状も軽症から重篤な患者までいますが、いずれも治らないこと。何十年も治療を続け、生涯にわたる医療費負担は重いものです。患者の数が多いから!発症の原因が不明だから!

ぜん息患者のみなさん、あなたがぜん息なのはあなたの責任ですか?

安心して治療を続けたいと思いませんか?

大気汚染に元凶を作ったのはトヨタなど自動車メーカー

トヨタをはじめ自動車メーカーと、国、東京都などを被告とした東京大気裁判。2002年に下された東京地裁判決では、自動車排ガスと喘息の因果関係が認められ、メーカーは被害の発生を予想できたとされましたが、どういう対策を取ればどれだけの被害が回避できたのかが明らかではないとして、メーカーには勝訴に至りませんでした。


しかしトヨタをはじめとしたメーカーは、1970年代後半以降それまではガソリン車が主力であった小型トラックでディーゼル車を開発、製造販売を劇的に拡大、一方1980年代には、それまで副室式が主流であった中小型トラックで、直噴式の製造販売を劇的に拡大しましたことで大気汚染の激化をもたらしました。こうしたメーカーの行為がなければ、例えば東京の大気汚染は4分の1にとどまったことが明らかにされています。


こうした主張、立証を踏まえて、東京高裁で和解が成立し、東京都での救済制度が創設され、最大で9万人が救済を受けるところとなりました。

電力、鉄鋼、石油化学は年間318億負担

しかしながらトヨタなど自動車メーカーは、都制度に一時金として33億円を拠出しただけで、その後の追加拠出は一切拒否。一方東京以外の被害者に対しては、一銭も負担していないのが現実です。


これに対して電力、鉄鋼。石油化学などの工場企業は、四日市公害判決を契機に創設された公害健康被害補償法の財源を、1973年以降現在に至るまで負担し続け、最新の2018年度単年の負担額でも318億円にも上っています。


このことだけを見ても、トヨタなど自動車メーカーの不当性は明らかです。


一刻も早く新たな医療費救済制度の創設を決断し、公害調停の話し合いに応じるべきです。

国の調査でも、自動車排ガスの影響明らか

国は大阪西淀川をはじめとした大気汚染裁判で、5連敗。そのたびに国の実施する大規模健康影響調査の結果を見て、救済制度を創設するかどうかを検討するとしてきました。その調査結果が、2011年に発表され(SORAプロジェクト)、自動車排ガスによる大気汚染が喘息などの病気をひきおこすことが明らかになりました。それにもかかわらず国は制度創設に踏み出そうとせず、最近は大気汚染も改善されてきたので制度創設には及ばないなどとしています。


しかし喘息などの病気はいったんかかると根治療法がなく、治療を続けるしかないのが現実です。近年多少なりとも大気汚染が改善されてきたとしても、その前の汚染のひどい時期から発病した患者さんたちは、長年苦しんだ上に今でも治療を余儀なくされているのです。現に東京都で2008年から実施されている喘息医療費助成制度の対象者の方へのアンケートでは、平均発症年は1990年前後と長年苦しんできた患者さんが多いことが明らかになっています。近年の汚染改善は、救済を拒否する理由にはなりません。

国にも大気汚染拡大に大きな責任

国は自動車排ガス、とりわけPM(排ガス微粒子)が喘息等を引き起こすことを知りながら、規制をサボタージュ。1972年にSPMの環境基準を設定しながら、自動車のPMの排ガス規制を始めたのは、何と30年後の2003年のことでした。


国は全国に幹線道路網を敷設して、モータリゼーションをまき起こし、これによって1970年代以降深刻な自動車排ガス汚染がもたらされていることを承知しながら、これに対する有効な規制を長年にわたって行ってこなかったのですから、その責任は重大です。

都救済制度では大きな成果

1996年に提訴された東京大気汚染公害裁判は、2007年に和解解決を勝ち取り、東京都でぜんそく医療費助成制度が創設されることとなりました。これは国、自動車メーカー、首都高速道路会社、東京都が200億円を拠出して、都内の喘息患者の医療費自己負担分全額を助成するもので、最大で9万人を超える方が、助成を受けることとなりました。これによって、医療費の心配をすることなく治療が受けられるようになったのはもちろんのこと、アンケート結果によれば、過半数の方の症状が改善するという大きな成果が生まれています。


しかしその後、当初の財源が枯渇する中、国や自動車メーカーが追加拠出を拒んだため、2015年から新規の認定が打ち切られ、また2018年からは、月当り6000円を超えた分のみを助成すると救済水準も切り下げられてしまいました。


このためこの間、国のレベルで救済制度創設を求める動きが高まっています。

広がる制度創設求める声

東京都保険医協会の赤羽根巖医師は、「都の条例で喘息の重症患者が目に見えて減り、良好な経過をたどるようになった。都の制度が全国に広まれば、この動きはさらに加速するに違いない」と語り、朝日新聞主催の喘息シンポジウムでも、「住んでいる自治体によって違うのは不公平ではないか、国による全国一律の制度に喘息患者さんの多い市町村では上乗せ制度を作っていくことが必要ではないか」(松沢成文前神奈川県知事)などの声が上がっています。


一方東京都議会は国に対し、制度創設を求める意見書を全会一致で採択し、埼玉県議会、横浜市議会などもこれに続いています。


また業界団体の自動車工業会も、「国が制度創設というなら自工会としても考える」(総務統括部長)、石油連盟も、「財源負担については了解というスタンスは変わらない。経団連あるいは国が音頭を取って応分の負担を決めるのが一番いいやり方ではないか」(総務部長)などと患者団体との交渉で語っています。

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